[チームビルディングプログラム]
● 想像してみてください
このホームページをご覧になっているあなたはきっと、何らかの「チーム」や「組織」に属し、その中でさまざまな役割を果たしながら、日々を送っておいでのことと思います。チームの「リーダー」として、あるいは組織の「長」としての役割を担っている方も少なくないでしょう。
さてあなたのチームは、今どんな状態にあるでしょうか?
おそらく「全て順調、将来も万全」というチームばかりではないでしょう。そして「今後、困難を乗り切って目標を達成していくためには、どんなチームにしていくべきか」について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
もしあなたのチームがこんなチームになれたら、どうでしょうか。
・ | チームの内部では、常に円滑なコミュニケーションが行われ、相互信頼感に満ちている。 |
・ | リーダーは必要なときに、必要なだけのリーダーシップを発揮している。 |
・ | メンバーはそれぞれの持ち味を活かして役割を果たしつつ、チームは課題を解決し、目標達成をしていく。 |
・ | そして解決や達成が成し遂げられると、さらにチーム自身によって次の目標や課題が生み出され、新たな取り組みが始まっていく。 |
・ | その繰り返しの過程で、リーダーもメンバーも成長していく。 |
いかがでしょう。意欲と活気にあふれ、みんなが良好な人間関係のもとにあるチームの姿が浮かび上がってこないでしょうか。
このようなチームを創っていく教育・訓練の一つのプロセス、それが「チームビルディング」と呼ばれるものなのです。
例えば建物を建てるときは、柱や壁や床、建具などを物理的な力学の法則にしたがって、一つひとつ時間をかけて組み合わせていきます。完成した建物ではそうした部材がそれぞれ力を出し合い、支えあい、結び合うことによって、自然の雨や風、地震などにも耐えられる強靭さが発揮されます。チームというものもやはり建物を建てていく時のように、たゆまぬ努力の積み重ねで作りあげていくものであり、強靭なチームは常にリーダーやメンバーがおのおの、相互理解を深めていくための活動によって力を出し合い、支えあい、結び合っている、つまり「ビルド」されているということです。建築と同様、チームや組織も組み立てられることによって、しかるべき役割を果たしている。そしてどちらもその構成要素と組み立てが確実なものであれば、少々の危機にもグラついたり、ブレルことはない。そういう実感が深まるにつれ、「チームビルディングというのは、実に優れたネーミングだな」とつくづく思ったものです。
● チームを「つくっていく」ためのプログラム
「チームビルディング」、そのまま訳せば「チームの建設」「チームづくり」といったところになるのでしょうが、最近では、組織の個人的・集団的な要因に直接アプローチして、チームの風土の活性化をうながしていくプロセスのことも「チームビルディング」と呼ぶようになってきています。(「人間関係スキル11講」大澤邦雄 プレスタイム、「クリエイティブ ヒューマン リレーションズ」全8巻 星野欣生、津村俊充 プレスタイム)
いわば、「チームづくりのお手伝い」といったところですが、私も、企業組織やスポーツチームを対象に、研修を通じてそのようなお手伝いをさせてもらってきています。
スポーツチームを例に取ると、選手の勧誘(リクルーティング)に始まって、体力トレーニング、技術的なトレーニング、戦略・戦術等のトレーニング、連係動作の練習、フォーメーションづくり等々、さまざまなトレーニングを積み重ねて、チームは大会に出て戦えるようになっていきます。そのようなトレーニングを合宿して行うこともあり、そのような活動の中で相互理解が進み、チームワークが「自然に」できて、チームづくりが進むこともあります。
しかし、自然発生的にできていくチームワークを待つのではなく、コミュニケーションやリーダーシップなどについて学びながら、自分をより深く理解し、チームメイトとも相互理解を深め、目標を統合し、目標達成のために力を合わせていく、そのようなことを促進するためのプログラムが開発され、実践されてきています。
そしてそのようなプログラムは、例えばチームメンバーはそれぞれ十分な能力を持っているのに、チームとしての能力の発揮は十分でなかったり、練習では好成績なのに実戦ではなかなか勝てないといった時に、事態を打開し、チームの能力を大きく発揮するきっかけになりうるものです。実際に、私もそうした事例を数多く経験してきています。
● 「気づき」との出会いのために
いま述べたようなことはもちろん企業の組織やチームに関しても同様です。
プログラムの中では、自分自身への理解が短い時間の間に劇的に転換し、大きな深まりを見せることがあります(私どもはこれを「気づき」と呼んでいます)。そのような瞬間との出会いは、本人にも、居合わせたメンバーや関係者(私自身も含めて)にも、大きな感動と人間的成長をもたらしてくれます。そしてそれは、本人の能力発揮が大きく高まり、またチーム内の共感や信頼関係が一段と深まる、その出発点でもあります。そのようなプロセスを経て、「チーム」は「ビルド」されていくのです。
「チームって、こういうものなんだ!」「こうすれば創れるんだ!」みなさんがプログラムの中でそのような「気づき」と出会われることを、心から願っています。
「組織が活きるチームビルディング」 (東洋経済新報社)より抜粋
北森義明著 日本心理技術センター客員スタッフ、順天堂大学 名誉教授